白馬の王子様

吾輩は独身である。
相手はまだ無い。
どこで間違えたか頓と見当がつかぬ。何ても暗薄いじめじめした所で『萌エェ萌エェ』萌えて居た二次は記憶して居る。
吾輩はインターネットで初めて『婚活人』というものを見た。
然もあとで聞くとそれは『箱入』といふ人間で一番天然な種族であったそうだ。此箱入というのは時々我々を捕えて煮て食うという話である。
然し婚活時は何という考ェもなかったから別段恐しいとも思はなかった。
但彼女の『掌』に載せられてスーと持ち上げられた時何だかフハフハした感じが有った許りである。
掌の上で少し落ち付いて箱入の顏を見たが所謂恋愛というものの見始であろう。
此の時妙なものだと思った感じが今でも殘って居る。
第一婚活動機を以て裝飾されべき筈のプロフが未記入未設定まるで業者だ。
其後『未婚女性』にも大分逢ったがこんな片輪には一度もリアルした事がない。
加之プロフの真中が『理想の相手』に特化して居る。そうして理想の中から時々ぷうぷうと虚言を吹く。
どうも夢っぽくて返答に弱った。是が箱入の好む『白馬の王子様』というものである事は漸く此頃知った。
此箱入の掌の裏でしばらくはよい心持に坐って居ったが、暫くすると非常な速力で『束縛』し始めた。
箱入が動くのか自分丈が動くのか分らないが無暗に息が詰まる。胸が悪くなる。到底助からないと思って居ると、どさりと音がして眼から火が出た。
此処迄は記憶して居るがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分らない。
ふと気が付いて見ると箱入は居ない。沢山居た『独身仲間』が一匹も見えぬ。肝心の『某婚活サイト』さえ姿を隠して仕舞った。
其上今迄の所とは違って無暗に明るい。眼を明いて居られぬ位だ。
果てな何でも様子が可笑しいと、ヲタヲタ這い出して見ると非常に痛い。
吾輩はヲタ活から急に現実の中へ棄てられたのである。
漸くの思いで現実を這い出すと向うに某大手婚活サイト一覧がある。吾輩は画面の前に坐ってどうしたらよかろうと考えて見た。
別に是という分別も出ない。暫くしてメールしたら箱入が又迎に来てくれるかと考え付いた。
無料、無料と試みにやって見たが誰も来ない。其内画面の上をさらさらと風が渡って日が暮れかかる。
腹が非常に減って来た。つぶやきすぎてネタが出ない。仕方がない、誰でもよいから出会いのある所迄あるこうと决心をしてそろりそろりと各サイトを左りに廻り始めた。どうも非常に苦しい。そこを我慢して無理やりに入退会して行くと漸くの事で何となく人間臭い所へ出た。
此所へ入会したら、どうにかなると思って婚活ブログのバナー広告から、とあるサイトにもぐり込んだ。
縁は不思議なもので、もし此バナーが居なかったなら、吾輩は遂に路傍に孤独死したかも知れんのである。一樹の蔭とはよく云ったものだ。此バナーは今日に至る迄吾輩が隣家の『日記』を訪問する時の通路になって居る。
サイトへは忍び込んだものの是から先どうして善いか分らない。其内に日記は暗くなる、腹は減る、寒さは寒し、業者が降てスパムという始末でもう一刻も猶予が出来なくなった。
仕方がないから兎に角明るくて暖かそうな方へ方へと歩いて行く。
今から考えると其時は既に有料の内に這入ってたのだ。ここで余は箱入以外の人間を再び見るべき機会に遭遇したのである。

パロディか、
オマージュか、
リスペクトか。
判断するは
読者次第の読者都合。